flopでベットし、turnでも打ち続ける。ところがriverで、目立っていたdrawが完成した。
それまでほとんど強く出てこなかった相手が突然raiseしてくる。あるいは、こちらがvalue betしたところに、普段は受け身なプレイヤーがさらに返してくる。
その瞬間、もう答えは見えている。
Fold。
それでもpotが大きくなるほど、そのボタンは押しにくくなる。
これは初心者だけに起こることではない。このspotはFold寄りだと分かっていても、実際に降りるのは別の話だ。
高くつくcallの中には、状況が読めていなかったのではなく、危険なサインが揃っているのに、最後までcallする理由を探してしまったケースもある。
判断を狂わせるのは技術不足だけではない。
すでにどれだけチップを入れたか。直前までどんな結果が続いていたか。そして今、自分がどんな状態なのか。
こうした要素と目の前のハンドを切り分けられるようになると、Foldすべき場面で余計な理由を探しにくくなる。
Potはあなたに何も返す義務がない
Foldが難しくなる理由のひとつに、sunk cost effect、いわゆるサンクコスト効果がある。
人はすでにお金や時間、労力を投入したものほど、途中で手放しにくくなる傾向がある。
ポーカーでは、この状況が頻繁に起こる。
preflopでraiseする。
flopでcontinuation bet。
turnでもう一度打つ。
riverに来る頃には、それなりのチップがpotに入っている。
そこで相手から、簡単には受けられないサイズのbetやraiseが返ってくる。
このとき頭に浮かびやすいのが、
「ここまで入れたのに」
という考えだ。
しかし、今考えるべきなのはそこではない。
それまでに入れたチップは、すでにpotの一部だ。
今考えるべきなのは、ここから追加でチップを入れる判断が利益になるかどうかだ。
テーブルを離れて考えれば簡単に見える。
ただ、potが大きく、時間も限られ、すでに何度もアクションしてきたハンドでは、この切り替えが難しくなる。
flopで良いbetをしたからといって、riverの悪いcallまで正当化されるわけではない。
考えるべきなのは、すでに入れたチップを取り返せるかではない。
次のチップを入れるべきかどうかだ。
相手のBluffを見ても、そのFoldが間違いだったとは限らない
もうひとつ厄介なのが、判断を終えた後だ。
riverでFoldした直後、相手がbluffを見せてきたとする。
その瞬間、
「やっぱり」
「callすればよかった」
「完全に押されている」
と考えたくなる。
そう感じるのは、今では結果を知っているからだ。
人は結果を知った後、その情報に引っ張られて、もともとの判断まで評価し直しやすい。
心理学では、これをoutcome biasと呼ぶ。
同じ情報をもとに下した判断でも、良い結果が出れば良い判断に見え、悪い結果が出れば悪い判断に見えやすい。
ポーカーでは、この偏りが特に厄介だ。
たとえばriverで大きなraiseを受け、相手のそれまでのlineを見る限り、rangeがかなりvalue寄りに見えたとする。
その時点で分かっている情報だけを使えば、Foldは十分に合理的だ。
相手がnutsを見せれば、
「良いFoldだった」
と思いやすい。
ところがbluffを見せられると、同じFoldが急にミスに見えてくる。
だが、判断の良し悪しを、後から見えた相手のハンドだけで決めることはできない。
もちろん、showdownで得た情報が無意味ということではない。
予想していなかったbluffを相手が見せたなら、それは新しい情報だ。
次からはbluff rangeを広げて考える必要があるかもしれないし、似たlineへの対応を変えるべきかもしれない。
問題なのは、後から得た情報を、Foldする前から知っていたかのように扱うことだ。
良い判断でも、気分の悪い結果になることはある。
悪い判断でも、potを取れることはある。
1回の結果だけでは、判断の質までは分からない。
Bad Runが続くと、いつの間にか違う問いを考え始める
難しいFoldが1回だけなら、まだ処理しやすい。
しかし短い時間に何度も続くと、話が変わってくる。
ここでtiltが入り始める。
Tiltは、怒って無茶なall-inをすることだけではない。
もっと静かに出ることもある。
callする理由を、いつも以上に探し始める。
相手がbluffしている可能性を、普段より高く見積もる。
そして、
「また強いハンドなわけがない」
と考え始める。
本来なら、
「この相手はここで十分な頻度でbluffするか?」
と考えるべきところが、
「また持っているなんてあり得るのか?」
に変わっていく。
この2つは、まったく別の問いだ。
前者はstrategyの話。
後者は、直前までの結果への反応だ。
online pokerを対象にした研究では、tiltの頻度は認知の歪みや感情面の問題、合理的な判断を失いやすい状態と関連していることが報告されている。
重要なのは、明らかにtiltしている状態まで行かなくても、判断が少しずつ崩れることがある点だ。
最初のサインは、ただのmarginal callが、
「ここは絶対に降りたくない」
という感情に変わることかもしれない。
だから、
「今日はもう十分Foldした」
という考えは危険だ。
ポーカーは、それまでに何回つらいFoldをしたかを数えて、次に必ずbluff-catchのチャンスをくれるゲームではない。
次の相手のrangeもvalue寄りなら、答えはまたFoldかもしれない。
Foldは何も勝ち取らなくても、最も高いEVを持つことがある
簡単なriverの例で考えてみよう。
riverでpotが$70。
相手が$50をbetしたとする。
そのbetting rangeに対して、自分のequityが10%しかないと見積もった。
callして勝てば、この時点から見た純利益は$120。
負ければ、さらに$50を失う。
したがって、
EV(Call) = (0.10 × $120) + (0.90 × -$50)
EV(Call) = $12 – $45
EV(Call) = -$33
一方、この時点でのEV(Fold)は$0だ。
つまり、この場面ではFoldの方がcallよりEVで$33有利になる。
これは、
「Foldして$33稼いだ」
という意味ではない。
長期的に平均$33失うcallを避けた、という意味だ。
だからFoldは、何もすぐに返ってこなくても最善のプレーになり得る。
重要なのは、Foldした直後に気分が良いかどうかではない。
長期的に良い判断を積み重ねられているかどうかだ。
途中まで全部正しくても、最後にFoldすることはある
プレイヤーは、ひとつのハンドをひとつの物語として見がちだ。
preflopでraiseした。
flopでもbetした。
turnでも続けた。
そこまで進んだのにriverでFoldすると、
「ここまで全部無駄だった」
ように感じることがある。
だが、ポーカーの判断はそういうものではない。
ひとつのハンドでも、streetが進めば情報は変わる。
そのたびに判断も変わっていい。
preflopのraiseが正しい。
flopのbetも正しい。
turnのbetも正しい。
それでもriverでボードやrange、相手のアクションの意味が変われば、Foldが正解になることはある。
riverがハンド全体の意味を変えることは珍しくない。
前のアクションと一貫性を保つためだけに、さらにチップを入れる必要はない。
強いプレイヤーは、状況が変われば判断も変える。
前のstreetでbetが正しかったからといって、次も続ける義務はない。
Hero Callの前に確認したい3つのこと
Foldしにくいspotに入ったときは、短いチェックを入れるだけでも、strategyと感情を分けやすくなる。
1. 実際に何に勝っているのか?
「bluffかもしれない」
だけではrangeにならない。
具体的に考える。
どのmissed drawが、このlineでriverまで来るのか。
showdown valueのあるハンドを、本当にbluffへ回す相手なのか。
そして、その相手は実際に十分な頻度でbluffするのか。
答えを具体的にするほど、
「callしたいから」
という理由だけで、相手のrangeに不自然なbluffを大量に足しにくくなる。
2. 今Callしたいのは、この場面が理由なのか、それともすでに入れたチップなのか?
もしcallしたい理由の中心が、
「もうこんなに入れている」
なら、それは警戒した方がいい。
今のcallは、今ある情報だけで正当化できなければならない。
それまでの投資額が、足りない理由を埋めてくれるわけではない。
3. 今日最初の難しいSpotでも、同じCallをするか?
これはtiltを見つけるのにかなり役立つ。
もし、
「今日最初のspotなら迷わずFold」
と思うのに、何度か嫌なpotを落とした後では同じspotが急にcallに見えてくるなら、strategy以外のものが判断に混ざっている可能性がある。
カードが変わったとは限らない。
変わったのは、自分の感情かもしれない。
休憩の目的は「意志力の充電」ではない
苦しいsessionで席を外すことには意味がある。
ただし、それを
「意志力を使い切ったから充電する」
と考える必要はない。
もっと実戦的な理由で十分だ。
苛立ちや焦りによって、range、bet size、相手の傾向の読み方が変わり始めたら、判断の精度も落ち始める。
短い休憩は、その流れを一度切るために使える。
特に、
「毎回持っているわけがない」
「もうFoldしない」
「ひとつだけ取り返したい」
と考え始めたら注意したい。
この3つは、今のハンドについて何も教えてくれない。
教えてくれるのは、自分の状態だけだ。
それだけでも、一度離れる理由としては十分だ。
難しいFoldは、テーブルを離れてからReviewする
難しいFoldが良かったかどうかを考えるのに、押した3秒後はあまり良いタイミングではない。
ハンドをマークして、session後に見直した方がいい。
確認するのは、実際の判断だ。
どれくらいのpot oddsだったか。
どのvalue handがこのlineを取るか。
どんなbluffがriverまで残っているか。
どのblockerが本当に重要か。
このplayer poolは、このspotでbluffが足りない傾向なのか、それとも多すぎるのか。
相手個人に対する明確なreadはあったか。
そして最も重要なのは、
その情報のうち、Foldを押す前に本当に持っていたものはどれか。
相手が見せたbluffは、次のreadを改善する材料にはなる。
だが、それを過去の判断に後付けすることはできない。
こうして見直せば、難しいFoldも無駄にならない。
実際にFoldしすぎていたと分かることもある。
それなら修正すればいい。
逆に、相手がたまたまbluffしていただけで、Fold自体は十分に妥当だったと確認できることもある。
それも価値のある答えだ。
目的は、すべてのFoldを正当化することではない。
より良い材料で、自分の判断を評価できるようになることだ。
Foldを好きになる必要はない
大きなpotをFoldして、気分が良い必要はない。
普通はそうならない。
すでにチップを入れ、ハンドもかなり先まで進んだのに、最後は続ける理由がなくなる。
正しいFoldでも、potを手放すのは気持ちのいいものではない。
目標は、Foldを好きになることではない。
Foldが気持ちよく感じられないと押せない、という状態から抜けることだ。
良いFoldでもpotは失う。
悪いcallでもpotを取れることはある。
見直すべきなのは、相手が最後に何を見せたかではない。
Foldした時点で持っていた情報から、その判断が妥当だったかどうかだ。
相手にbluffを見せられたからといって、そのFoldが自動的にミスへ変わるわけではない。









